メニューインによるヴァイオリンのための6つのレッスン(3-左手の準備編…ヴァイオリンを持つときの大きな混乱をほぐす)〜第3回

Violin上達しよう

 以前の記事『【速報】《弦楽器奏者のためのカラダの使い方講座》的おすすめ教材5冊+2冊』で紹介した『メニューイン/ヴァイオリン奏法』という書籍の解説を試みます。

 もともとこの著作は、ビデオによる6つのレッスン・シリーズのテキストとして書かれたものです。(ここでも書きました→メニューインのヴァイオリン奏法についての記事

 第3回目となる今回は「レッスン3 左手の準備編」についての解説です。

ヴァイオリンを持つということ

 「ヴァイオリンを持つ」(holding the violin)……この言葉に潜む危険があります。それは「持つ」という言葉が、「ヴァイオリンを固定する」という意味合いを含んでしまうという危険性です。

 ヴァイオリンを持つ、というときには、静止した状態・固定された関係性を言うのではありません。奏者の身体から見て、演奏に必要な位置に保ち続けるために、ヴァイオリンを動かし続けた結果が「決まった位置にとどまっている」ように見えるだけであって、けっして奏者もヴァイオリンも不動のものではありません。

 呼吸をする、心臓が鼓動する、これらのときに、私たちの身体はわずかではありますが動いています。いわば、ヴァイオリンを持つということは、これらの生きるための本能的な動きに支えられながら行う、意図的な動きの流れのなかにあるのだといえましょう。

左手の2つの役割

 ヴァイオリンを演奏する際に、左手には役割が2つあります。

  1. ヴァイオリンの姿勢制御
  2. 指を運ぶ

この2つの役割です。

ヴァイオリンの姿勢制御

 姿勢制御のために2つの働きを考えられます。ひとつは、好みの場所に楽器を移動させるように力を与えること。もうひとつは、動かしていない時でも、楽器を所定の場所にとどめ置く力を与えること。

姿勢制御の動力を伝える接点

 ヴァイオリンの姿勢制御をするのが左手の大きな役割です。姿勢制御というのは、ヴァイオリンと奏者自身との位置関係を制御するという意味であり、ヴァイオリンと地球の関係性(ヴァイオリンに働く重力の方向)を制御する、ヴァイオリンと弓との関係を制御するという意味も含みます。

荷重を支持する接点

 ヴァイオリンの姿勢制御をするために不可欠なのが、ヴァイオリンと奏者との接点です。ヴァイオリンと奏者の身体との接点は幾つか挙げられますが、ヴァイオリンの重さを支えるという意味で決定的な物理的接点は2つあります。左手と鎖骨です。

 左手だけでヴァイオリンの重さを引き受けるのではなく、鎖骨を利用することで左手はその分自由になります。

指を運ぶ

 左手の二つ目の役割は「指を運ぶ」です。指を弦に触れさせるために、指を動かす・運ぶ。

 異常なほどにシンプルですが、これって大事です。

左手の複合的働き

姿勢制御と指運び。この2大ワークを個別に訓練していくやりかたをメニューインが紹介しているのであります。

 ……コツコツと続きます。乞うご期待!

参考

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