私はいま、アレクサンダーテクニークの勉強をしているのですが、ヴァイオリン演奏におけるカラダの使い方を改善する働きがあることにびっくりしています。20年以上前に出会った書籍『メニューイン/ヴァイオリン奏法』は難解なもので理解に苦しんできましたが、アレクサンダーテクニークを自分の演奏や日常生活に組み入れるようになって、この難解なメニューインの著書を解説してみようと思うにいたりました。
もともとこの著作は、ビデオによる6つのレッスン・シリーズのテキストとして書かれたものです。(ここでも書きました→メニューインのヴァイオリン奏法についての記事)
第4回目となる今回は「レッスン4 弓の動き」についての解説です。
主要な体の動きを知る大切さ
ヴァイオリン奏法は、体の動きの調和を必要とする
「レッスン4 弓の動き」の冒頭、メニューインは次のように述べています。
指や関節の動きの無数の変化を、そのおそるべき複雑さにわたって詳細に記述することは不可能であるし、その必要もない。それらは、実際にヴァイオリンをひいているうちに無数の応用運動を通じて習得していくことができるのだから、そのうちの主要な運動さえよく知っておけば十分だとわたくしは思う。
『メニューイン/ヴァイオリン奏法』
「弓の動き」は学ぶことがいっぱい!
学ぶことがどれだけ多いかを、『メニューイン/ヴァイオリン奏法』のページ配分で見てみましょう。
レッスン1〜6で合計124ページあります。内訳は次のとおりです。
- レッスン1 一般的準備練習……15ページ
- レッスン2 準備練習(右手)……19ページ
- レッスン3 準備練習(左手)……19ページ
- レッスン4 弓の動き……39ページ
- レッスン5 左手の動き……18ページ
- レッスン6 両手いっしょの動き……14ページ
もっとも多くのページが割かれているのが「弓の動き」です。あまりにも難解なので、小見出しをもとに簡単な目次を作ってみました。
弓を動かすための基本的な概念
- 基本ストロークの3つの動き
- 始動、維持、弓の変わりめ
- 基本ストロークの練習6つ
- 弓の動かし方と、カラダの動かし方の結びつきを確かめるための工夫が込められています。動かすために、どこにどれだけの力を込めると良いのかを試していく練習です。
- 運弓に重量をのせる
- 弓に重さをかけるための練習。弓に腕の重量をのせるために、指や肘の力の使い方の混乱を解きほぐしていく練習です。
- 身体の同調的な動き
- 弓を動かすときの、左右の腕の動きと、胴体の動きの関係性に気づくための練習です。
- 弦の移行のさいの、腕、手、指の役割り
- 弓をなめらかに動かすために、腕の関節たちを、どう連動させればいいのかを理解するための練習です。それぞれの関節が弓の動きに与える影響力を確かめる練習ともいえます。
惜しむらくは、この「レッスン4」の動画は不完全版なんです。動画の全てを手に入れたらお知らせします。
弓の動きの系統学
演奏で用いる弓の動きは、次のように分類することができます。無計画に訓練するよりも、これらの観点を持って、それぞれについて抜け目なく、少しずつ使い方を覚えていくとよいでしょう。
- スラー、移弦
- アクセント
- 弓と弦を離す
- 長・短のストローク(保持するか、断続的か)
- 弓と弦の衝撃の調整
それぞれの項目についての詳しい解説は、また次の機会に行っていきます。また、スタッカート・スピッカート・リコシェなどの弓の技術についても順を追って練習方法が紹介されていますので、これらも順に紹介していきます。ご期待ください。