「ゆっくり練習しなさい!」……よく言われることです。でも、《ゆっくり練習する》ってのがどういう事なのかを教えてくれることは滅多にありません。
この《ゆっくり練習する》の意味がわかると、本当の上達が始まります。ちょっとだけ考えてみました。
《ゆっくり練習する》ってどういうこと?
楽器の演奏で言うところの《ゆっくり練習する》とは、どういう事なのでしょうか。ためしに、あえて一言で言い切ってみますと、《ゆっくり練習する》とは《意味を見出しながら進む》ということではないでしょうか。これが正しい言い換えとは限りません。『意味』を別の言葉におきかえても良いかも知れません。意図・意思のベクトル、方向性といった言葉が僕には思い浮かびます。《方向性を見出しながら進む》……いかがでしょうか。
《方向性を見出しながら進む》という練習方法……
具体的にどうやればいいのかというと、じつに書き表しづらいのですが、ゆっくりでもいいし早くてもいいんです。一つひとつの音が、どんな流れをもっているか、どんな流れの中にいるかということを思いながら……というのが《方向性を見出しながら進む》という練習の実際だと、いまは書きとどめておきたいと思います。
このようなアイデアで楽器を手に取り練習を始めてゆくと、テンポというものが副次的な産物であることに気付かされます。所定のテンポで演奏するという訓練法も、もちろん有用ではありますが、方便として用いられるべきものと僕は思っています。