【レベルの低いレッスン】そんなことってあるかな?〜自分の浅はかさを思い知った

 ある指揮のレッスン。その様子の断片を一瞥して「教える側も、生徒の側もレベルが低い。これは、何のレッスンなんですか?」と言う人がいた。僕はいちど腹が立って、その人に抗議しようかと思ったくらいだ。でも、それを思いとどまって、よく良く考えてみることにした。

 その人は、プロフィールから推し量るに音楽の道の第一人者であるはずだ。もしも、その人が「レベルが低い」ということを馬鹿にしているのだとしたらなんともったいないことをしている人なのだろう、と思えば僕の気は済むことだろう。でも、第一人者なんだから、もっと違う意味で働きかけをしているかも知れないと思ったときに、彼の発した言葉に別の意味が込められていることに気づいた。

 彼は「レベルが低い」と断ずる一方でこう言った……「これは、何のレッスンなんですか?」と。何回も読んでみて、やっとその人のことを偉い人だなとおもうようになった。

 「僕には《レベルの低いレッスン》をしているようにしか見えない。でも、自分には知りえない深い意味があるはずだと思うから教えてください、《これは、何のレッスンなんですか?》」という、謙虚な問いかけだったのではないかな、と思えてきたわけです。

 そして、そのレッスンを受けていた生徒さんはこう答えました。「心の表現としての音楽と、『心』を演奏者の伝える技術を学んでいます」と。目からウロコが落ちました。

 うーん、世の中にはすごい人がごろごろしているものだ!楽しいぞ!

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