今回は心と体の話。
相撲で、力士が土俵入りする際に化粧まわしをしめますね。
ある名横綱が、露払い・太刀持ちと3人で
「心」「技」「体」
というまわしをそれぞれに締めていました。
それだけで、わけもなく感動した思い出があります。
勝負強いといわれる力士には共通点があるように思います。
そのほかのアスリートの世界でも、ずば抜けた記録を打ち立てている超一流といわれる一握りの人たちには、共通する何かがあります。
もしかしたら、身近にもいるかもしれませんけど……
・いつも誰とでも変わらず笑顔で挨拶のできる人
・どんな苦情でもお得意様に変えてしまう人
あと、一見すると全然違うように見えるこんな人もいますね……
・練習ではいまいちなのに、本番にやたら強い人
メジャーリーグで活躍しているイチロー選手は面白いことを言っています。
あのボテボテのゴロで打撃の何たるかを開眼した
……みたいな。
周囲から見たらボテボテの内野ゴロ。
一塁でアウトになった、安打にはならなかったという観点では失敗なんです。けど、彼にとっては「失敗」ではなかった。
ボテボテの打ちそこないが失敗ではない、その真相はどういうことか。
彼のなかであるイメージを持っていました。それは、「こんな打ちかたなら、こんな打球になる」というイメージです。
その予想イメージが実際の打球とは違っていた。
「この打ちかたで、こんな結果になるのか」
と、イメージとの違いのすり合わせをしたんですね。
それまでも、毎回の打席で同じ作業を繰り返して、打撃を洗練させてきたはずなのでしょうけれども。とにかく、ある打席でそういう違和感を強く感じたんですね。イチロー先生は。
イチロー ポニーキャニオン 2001-04-18
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バイオリン演奏でも同じなんですね。こじつけたみたいですけど。
やりたいこと、音楽の流れとかそういうのがあってから、そこに必要な音をつくる。
だから、出したい音には、自分なりの必然性があるんだよね。必然性がなかったら雑音になっちゃうんですね。
自分のなかで生まれた「音楽の源」との脈絡を絶ってはいけないんですね。
とにかく、自分のなかにある「音楽の源」から溢れてくる音楽そのもの(「音」ではなくて)を、楽器を通して「音」という現象を発生させるという経路があるわけですね。経路というか、一連の手続きというものが……。
で、手続きそれぞれの段階で、邪魔が入るわけですよ。
「ここの部分はこないだ失敗したな」
「おなかへったなぁ」
「うう、このソロをドジったらクビだ」
「雨降ってるから、楽器のコンディション悪いなぁ」
など、もろもろの雑念とでも言いましょうか……。
ここに楽器を演奏する難しさがあって……。
なんだか、結論からどんどん離れていく気がします。
要するに、
演奏(パフォーマンス)をより良いものにするためにできることは二つあります。
ひとつは、感受性と技術(ポテンシャル)を磨き高めること。
もうひとつは、感受性と技術を妨げる「障害」を小さくすること。
そんな観点で書かれたのが、この本です。
訳本ですが、監修は「辻メソッド」の辻先生です。
「インナーゲーム」という言葉を聞いたことがある人には、この本は無用かもしれないなぁ。
演奏家のための「こころのレッスン」―あなたの音楽力を100%引き出す方法
バリー グリーン,ティモシー ガルウェイ 音楽之友社 2005-05-01
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いま読んでますけど、なかなか面白いです。
自分の考えてたことを、こうして先に世に出してる人がいる。
悔しいけど、でも、嬉しい。