【ひとりでできる】まっすぐなボウイングのための《3つの簡単エクササイズ》~バイオリン基礎・ボウイング

ひとりでできるまっすぐなボウイング習得のための簡単なエクササイズを3つご紹介します。楽器を使わなくてもできるもの、楽器を使っておこなうものがあります。状況に応じて、遊んでみてください。

まっすぐボウイングとは、弓毛の運動方向が駒と平行であることです。もうひとつの言い方をすると、弓毛の運動方向が弦と直角をなすことです。

【その1】テーブル・手すりを使った《擬似ボウイング》

1つ目のエクササイズは、楽器を使わずにできます。

やり方……テーブルや机の「へり」・手すり・シンクなど、真っ直ぐな長い物《擬似弓》を撫でます。この《擬似弓》を手で撫でることで《擬似ボウイング》を体験します。弓と駒との平行(=弓と弦との直角)を保ちつつ動かすために、腕全体がどんな連携動作をしてくれるのかを知ることができます。

《擬似ボウイング》をすることで色んなことが発見できます。ボウイングは肘・手首に限らず全身の連携があってなめらかなものとなります。指や鎖骨・肩甲骨をはじめとする腕はもちろん、脊椎や肋骨をはじめとした全身の骨格・筋肉が、気づくか気づかないかくらいのちょっとした協力の上に成り立っているんですね。頭も動きを作る大事なキッカケを担っていますし、足もバランス調整に参加しています。全身でボウイングをしましょう。

【その2】胸あてボウイング

2つ目のエクササイズは、楽器を使います。

構え方が特殊です。左手で楽器を持ちますが、エンドピンを胸ポケット付近にあてて、f字孔を自分の顔に向けるようにして構えます。弦が床と平行になるような角度で楽器を支えてください。楽器は自分の体の真正面からやや左(真正面を時計の12時とすると11時くらいの位置)でいいです。

やり方……この構え方で開放弦を弾きます。弓の動きと自分の体への命令の関係、弓の動きと音の関係を遊んでみてください。

弓を動かすときに、自分にどう言い聞かせるかによっても音が変化します。これもあれこれ遊んでみてください。
 プラン1「弓をまっすぐ動かす」
 プラン2「弓の毛で、弦をこする」
 プラン3「弓を引く/押す」…(のこぎりを木材に当てて引く/押すときの感じ)

僕のオススメは、この3つをかわるがわる比べてみることです。どれがいい、どれが悪いということではないので試してみることをオススメします。何回か試していくうちに、それだけでボウイングの様々な問題が解消に向かい始めます。

【その3】頭の上のバイオリン弾き

3つめは、ちょっと奇抜です。これもバイオリンを使います。

楽器を構えます。でも、頭の上に乗せてください。普通は肩(厳密には鎖骨)にバイオリンをのせますが、頭のてっぺんにバイオリンを構えます。肩あてを使っている人は、肩あてが頭のてっぺんに乗るように構えてください。そして、その位置にあるバイオリンを、右手に持った弓で弾きます。(立ってやってみたり、座ってやってみたり、歩きながらできたら天才かも!!)

これの何がいいかというと、バイオリンを演奏することへの先入観をぶち壊せることがいいんです。頭の上以外でも構えてみてください。刺激的な演奏体験になりますよ。頭の上以外でのオススメは、右の鎖骨にのせて弾く・体の前方でなく背中のほうで弾く、です。いずれの場合も《左手にバイオリン・右手に弓》という組み合わせは変えません……変えてもいいですけれど。くれぐれもぶつけないようにしてくださいね。

バイオリン演奏の極意

普段と違う位置に構えると、音の聞こえ方も変わりますし、姿勢(ポジション)も変えざるを得ません。しかし、そのことによってただひとつの大事なことが分かります。「弓の毛と弦を出会わせる」これがバイオリン演奏の《ボウイングの極意》と言えるのではないでしょうか。

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