今回は、ヴァイオリン演奏の時に、弓をもって動かす右手のために知っておいて欲しい《弓を弦にどう当てるか》ということについて考えていきます。
この《ヴァイオリン演奏・超入門》シリーズでは、当たり前すぎて教則本に書かれていないことや、じつは書いてあっても扱いが小さすぎて気づきにくいこと、本当はレッスンで先生が大事だと言っているんだけど生徒さんは大事さに気づかないままでいることが多いことを取りあげていきます。
弓の当て方〜駒からの距離(前編)
ボウイング(Bow-ing、弓づかい、運弓)を練習するときに、まず気にするといいのは、駒からどのくらい離れたところをこするのか、を考えることです。
駒からの距離、6種類
駒から近い順に6種類を簡単に説明します。区別するために名前をつけていますが、あまり一般的な呼び方ではないかもしれません。
- 1. スル・ポンチ・チェロ
- 《駒の上》をひきます。駒のすぐそばといったほうが分かりやすいかもしれません。あまり使いません。黒板を引っ掻いたような音が出たりするのですよね。出したくもないのにこんな音が出たりすることもあります。あえて使うとしたら、作曲者がわざわざ指定した時くらいです。「するぽん」と呼んだりもします。
- 2. ハード・ポジション
- 《駒から2〜5mm》くらい。駒にすごく近いところ。強く、しっかりした音を出したい時に使います。ゆっくりした弓を使う必要があります。速い弓だと「しゃーしゃー」という感じの音になります。
- 3. ノーマル・ポジション
- 《駒から1〜3cm》くらい。一番うまくいくところ、というかバイオリンらしい音が出るというか……。まずは、これを身につけることをおすすめします。いつも、弓の先っぽでも根っこの方でもこの距離にいられるようにするということを、最初は目指すと良いです。
「胸あてボウイング」でボウイング・チェック
ボウイングを観察したい時におすすめなのが「胸当てボウイング」です。左手でヴァイオリンのネックの付け根あたり(ヴァイオリンの肩のあたりでもいいです)を持ち、胸ポケットあたりに構えます。
そうすると、ボウイングの様子を簡単に観察することができます。これだと鏡がなくてもできますね。
基本は「駒からの距離を一定に保つ」
基本的な音階練習をするときなどでも、「音がかすれる」「一定した音色・音量が出せない」というときには、駒からどのくらい離れたところをこすっているかを気にしてみましょう。
次回は、残り3種類の当て方と「駒からの距離を一定に保つには?」ということを考えていこうと思います。