いま私はバイオリン演奏と演奏技術指導に役立てるために、アレクサンダーテクニーク教師になるための勉強をしています。そこで学ぼうとしている人に向けた自己紹介文があるので、ここに掲載します。
私の「教えたい!」という思いの源をたどる旅路に、少しの間お付き合い下さいね。
音楽との旅路
私は、バイオリンが好きで好きでたまらない……それだけで楽器を続けてきました。ただのバイオリン演奏愛好家です。ヴァイオリンとの出会い、そして、死にそうになりながらもヴァイオリンと共に再起し、夢に向かって一歩踏み出すまでになりました。
ヴァイオリンとの出会い
~音楽家としての成長~*高校生編
高校生になったとき、地元の先輩があるオーケストラに誘ってくれました。宗教団体の人材育成グループとしての高校生オーケストラでした。
先輩の言ってくれた言葉「すごい先生が教えてくれるぞ」という言葉を受けて、両親に「バイオリンをやりたい。楽器を買ってください」とお願いして、私のバイオリン人生が始まりました。
私のヴァイオリンの先生は、日本の1,2を争うプロオーケストラで首席奏者を務めた後に、わざわざある地方のプロ交響楽団に参加し、音楽教室など、子供に本物の音楽を届けるという活動に挺身してこられた方です。
そんな先生の熱血指導を最初の2年間、みっちり受けました。
~音楽家としての成長~*大学生編
大学では、オーケストラ部に入り、年2回の定期演奏会の他、大学への来賓が来るたびに迎賓演奏をしてきました。大統領やそれに準じる国賓であったり、世界の一流大学の学長だったり、あるいは人権運動の闘士の前で演奏したこともありました。大学4年間で、そうした演奏は数カ月に一度という頻度で行われました。
大学生活のはずが、いつのまにか、バイオリンまみれの生活になっていました。大学生になると、周囲は自分より経験が浅いのに、自分より弾けている人がほとんどでした。いま思えば、私は初見演奏、先輩方は数ヶ月練習を経ていたのですから、当然のことだったのでしょうが、当時はそんなことも思いませんでした。
「このオーケストラで一番になる」
と密かに誓を立てて、自分よりできる先輩に教えてもらいまくりました。どこから来たかわからないような、昔のOBが連れてきたちょっとあやしい雰囲気の漂うトレーナーさんからも必死で教わりました。
そして、コンサートマスターを任させるようになりました。後輩がいて、自分の練習をする間もなく、他人の演奏指導ばかりする日々。それでも何故か上達してしまうことに驚きを感じていました。
~アマチュア音楽家としての成長~*社会人編
いつのまにか、大学OBから一目置かれる存在にと変わっていきました。社会人になってからは、ある宗教団体の青年オーケストラに所属し、年2回のオーケストラ演奏会に加え、年間20回以上の室内楽活動を10年以上続けました。第2バイオリン首席を経てコンサートマスターを10年くらい続けました。
また、もともと育てていただいていた高校生オーケストラのトレーナーとして週末2回のそれぞれ1日がかりの練習にも参加していました。毎年初心者を教えて、オーケストラの楽曲を1年で弾けるように訓練するというお手伝いをしていました。時にはオーケストラの指揮をし、来客の前で急な演奏要請に答えたこともありました。
大学OBのオーケストラでは並み居るコンサートマスター経験者を従えて、最若年の私がコンサートマスターを任されもしました。
~音楽家としての挫折・再起~*プロの卵たちとの遭遇
社会人になって数年たったあるとき、都内の大学のサークルから誘われて、楽器専攻の学生ばかりのオーケストラに呼ばれ参加しました。みんな自分より上手であることに驚き、しかもじぶんが全然引けてないことに気づきました。猛練習。それでも及ばない気がしました。
~再入門~
「なにを練習すればいいか、分からないのです」と、最初に手ほどきをしてくれた先生の門をたたきました。
そこから、徹底して基本をやり直しました。音階、音階、音階。音階を通して、左手や右手のメカニカルなテクニックを洗練させていきました。
その2年間で先生のレッスンを受けたのはわずかに3回でした。しかし、その3回で「練習するために何が必要か」「どう動けばどういう音が出る」といった基本は全て、自分で気がつくことができるようになっていきました。自分の技量に応じた練習課題をみつけるようになっていきました。
~ブログの開始(学びの共有に目覚める)~
そしてそのころから「バイオリン応援団」というブログを書き始めるようになりました(http://www.iiichiro.com )
これ以降、ヴィオラを演奏したり、先生のいるプロオーケストラに欠員補充で助っ人に行ったり、前述の若い音楽学生たちのオーケストラに出演することも経験しました。が、技術的に気おくれすることは、どんどんなくなっていきました。
ふたたび挫折・再起
~バイオリンとの離別~
家庭や仕事の事情が変わり、そうした活動から、一時的に離れることになりました。それまでの平日は会社員、休日はオケの人という生活だったのが、昼も夜も会社で仕事、休日も仕事という日々を過ごしました。
~Twitterでたぐりよせた新しい音楽仲間との出会い~
あるとき「1年間ヴァイオリン触ってないぞ」ということに気づきました。「このままだと、自分が自分でなくなる」と感じました。
Twitterでオケ仲間を探し、たまたま本番があることをしり参加を申し込みました。そして、必死でヴァイオリンを触る時間を作り始めました。8時に出勤、昼休み1時間を食事とヴァイオリン練習に充てて、深夜24時過ぎに帰宅。
こうしてなんとか、ヴァイオリンと自分、そして新しい仲間たちとの繋がりを得ることができました。
そして、今度はさらにハードな現場への異動になりました。半年間休みなし。朝8時から夜中の2時、3時まで帰れないことが続きました。ですが、一度燃え上がったヴァイオリン好きの炎がもう消えません。新しい仲間たちとの演奏会に向けて、毎晩ソリストとしてのコンチェルト練習に励みました。
仕事も、徐々にチームワークが功を奏して、休日が取れるように変わりました。Ustreamで中継されたTwitterオーケストラ(粒オケ)の演奏会を、職場の社員やパートさんたちも鑑賞してくれました。
アレクサンダーテクニークとの出会い
~新たな転機~
さらに職場を異動。未経験の業務。休日のバイオリン演奏を支えとしてなんとか仕事を続けました。しかし、さらに半年、自分の時間の使い方に深い疑念を持ち始めたのです。
「新しい業務をマスターするたびに、会社の都合で転々とさせられていく。会社の経営にどんどん近づいていっているのかもしれないが、どうも好きな事と少しずれていて・本心からやりたいと思えていない」と。
そんなある日、「アレクサンダーテクニークの体験レッスン行ってきた。安いから行ってみたら?」という大学時代の後輩から、BODYCHANCEのWebサイトのお知らせが飛び込んできました。
そこから、アレクサンダーテクニークへの猛チャージが始まりました。演奏の上達法・指導方法を研究するなかで「アレクサンダーテクニークとボディ・マッピング」の本を買ったことがありました。読んだまま、使い方がわからずに放置していたのです。そのことも思い出して、読みあさりました。
~あ、ライフワークはこれだ!「教える」を仕事にする~
BODYCHANCEの体験レッスンは無料ではないので、どうせ受けるなら1度きりでも有益なものにしようと思い、webサイトを真剣に読み始めました。読んでいるうちに広告が目に止まりました。「教えるを仕事にする」……なんだこりゃ。
プロコースの説明を読みまくりました。メールマガジンも登録できるものはしました。読みました。そして、体験レッスンの申込と同時に、プロコースの見学も申し込みました。
そして、プロコースを見学し、そのまま入学したのです。「ああ、想像以上だ!」
プロコース6ヶ月間の激闘
~濃厚な学びのカオス(混沌)に飛び込んだ!~
プロコースを見学し、ジェレミー校長から「なにかやりますか?」「もちろん!ヴァイオリンをひきたいんです」とバイオリンを弾いたことはいまでも覚えています。
自分は相当に良い感じになってるはずだと思っていたけれど、自分の中にまだまだ力が眠っていることを気付くことができたんです。それは、なんとも言いようがない驚きでした。
「自分のなかに、自分の気付いていない自分がいるんだ!」
「ああ、これは想像以上だ!」
「きっと、他の人にも役立つはずだ。これをできるようになりたい!」
そして、プロコースの授業以外にも、ベーシックコースのクラスも、ひたすら見学参加しまくりました。BodyChanceに出入りしている日本人教師のクラスは全て受けました。そして、ベーシックコースの生徒さんや、プロコースの生徒さんの学ぶ姿・持ち込む取り組みを見て、自分の演奏にどんどん取り入れていくようになっていきました。
回想….教えたいのはなぜだろう?
~なぜ、教えたいのか~
特に中学校時代、私は勉強が好きでした。私の周りの友達は、勉強が苦手でしかたなく塾に通っていたようです。本があれば自分で学べるのに、なんで教わる必要があるんだとまで思ったくらいです。
そんな私でしたが、放課後に自分と仲の良い連中と一緒に勉強会をしていました。試験期間でしたが、私は自分の理解がどんどん深まるのが面白くて、彼らの勉強の手伝いに明け暮れました。
~なぜ、音楽に関わりたいか~
自分の心の支えは、自分の演奏に触れてきた人達の声です。
「おまえとヤルと、楽しいねん」
「あのときの演奏会、ぼくは客席で聞いたんです。あの演奏があって、立ち直っていまがあります」
「いちろーくん、また来て演奏してね」
「1曲やってもらうだけじゃわるいなぁ、コンサート企画するから来てよ」
「いちろーさんのヴァイオリン、きくとむっちゃ元気が湧いてくるねん」
「イチローさんの横にいると、風が吹いてくるんだよ。気持ちいい」
いつも、隣で演奏してくれたひとが楽しそうにしているのはなんでだろうな?と思っていました。
~音楽プロコースへの転換~
アレクサンダーテクニークのクラスは、学びの場・探求の場ともいえますが、なにより、人生に新しい遊び場を見つけるクラスだと思っています。プロコースはその「遊びの仕組み」を研究して、どうしたらもっと面白がってもらえる遊びができるのかを考える研究所みたいなところです。
アレクサンダーテクニークを学ぶようになってから、共演者や聞いてくれた人が「音のキラキラが増して来た」「恋人でもできたのかしら?」と言われるようになりました。どんだけキラキラしちゃっているんでしょうね。
私自身が好きな事は、音楽をすること、ヴァイオリンを奏でること、こうして誰かと何かを作ること何だと思います。
私がやりたいのは
『ヴァイオリン演奏を教える』
『音楽の楽しみ・生きる楽しみを共に学ぶ』
その2つです。
~通常プロコースと何が違うのか~
音楽プロコースになると、プロコースよりも、もっと極端な狭い範囲をとことん深く掘り下げます。やりたい楽器のこと、きがかりな本番のこと、忙しすぎる/暇すぎる仕事への不安など。
大好きな音楽を、真剣に楽しむ・あるいは苦しんでいるひとが「これって、どうしたら良いの?もう自分では、とことんやりつくしちゃって、どうしたらいいか分かんない」というくらいに煮詰まったものを持ち寄ってきます。
そこに、アレクサンダーテクニークのアイデアを一滴ぽたり……全身が圧迫から解放されて、呼吸が自然に深くなって、視界がひらけます。で、演奏もガラリと変わってしまう。マジックショウです。
でも、一方的にマジックショウを見せられるだけじゃないんです。そのタネ明かしをしてもらえる。そして、自分でそのマジックショウを再現できるようになっちゃう。自分でびっくりした素晴らしい感動体験を、他に人にも伝える力を育てていくのが、この音楽プロコースだな、と思って楽しんでいます。
新たに目指す道
音楽プロコースで学び始めてから、付き合う人びとが変わってきています。音楽の魅力、音楽は絶対に人生に活力を与えられると本気で信じている人々と響き合う毎日に変わっています。
私自身も変わってきました。スタジオ設立を目指す第一歩として新しくWebサイトを作ってしまいました。「弦楽器奏者のための・やさしいカラダの使い方」 http://www.ezplaystrings.com というものです。
自分が教わってきたバイオリン奏法、そして、自分が築いてきた音楽への信念「どんな人も、音楽とともに力強く生き抜くことができる」を広げるという夢に向かって、クラスに通っています。仲間が増えていくことがほんとうに楽しみです。以上!
アレクサンダーテクニーク教師養成コース《プロコース》《音楽専門プロコース》にご興味がおありでしたら、ご紹介しますので、ぜひお気軽にご連絡くださいね。