指が長くないんで、左手指の練習ではひと工夫必要な いちろーた(@ichiro_)です。
先日のレッスンで、ダブル・ストッピング(重音)での悩みについてヒントが得られたのでちょっと書いておきます。
僕にとって、ダブル・ストッピングのなかでも、特にフィンガード・オクターヴは練習しようにも苦痛だらけでした。ちっとも上達の兆しが見えなかったので諦めてました。諦めたといいつつ10年以上悶々としてきた問題です。ところが、わずか10分足らずのレッスンを受けたら痛みが消えて、習得に向けて練習する意欲が湧いてきました。なんで、こんなに楽になったんでしょうか?
指が届かない!痛い!~フィンガード・オクターヴの悩み
フィンガード・オクターブの練習をするとき、1と3の指で押さえるのは僕でもできたんです。ただ、2と4の指の組み合わせで弦を押さえようとする途端にきつくなる。何がきついのか。一番きつかったのは「親指の付け根あたりの丘」でした。
「位置ではない!動きを思え!」
レッスンで、僕のフィンガード・オクターヴの様子を観察したジェレミー先生は最初にこのように言いました。
位置や姿勢を思うのではなくて、動きについて思ってみたらどうだろうか
《正しい位置》のことを思ったときには、体が硬直してしまっているみたいだよ
たしかに僕は思っていました。「指先を所定の位置に置かなければならない」という思いにとらわれていました。僕自身が指先を所定の位置に運ぶために「どう動くことができるのかを考えて試してみよう」というのが先生からの提案でした。
「指先を運ぶ」ための方法を模索する
面白いのは、指を動かす――指先を空間のある一点から別の一点へ運ぶ――ためにできる自分自身の体の動きの組み合わせは無数にあるということなんです。これが今回僕が発見した大事なところです。
バイオリンの指板の上で指を動かすときに、ついつい指だけの運動だと思ってしまいがちでした。しかし、指だけである必要はないんです。逆に指自体は動かさなくても、指板上での指の位置を変える方法がいくつもあります。
手首から動かす、肘から動かす、肩まわりごと動かす、背骨をひねる、足から動かす…などなど、これらを組み合わせれば無限と言って良いほどの動きの可能性が生まれます。動きの組み合わせ――協調作用――による可能性の拡大が理屈でなく、自分の体として「わかった」んです。
指と手首の協調について
指と手首、それぞれの動きの間には密接な関連性があります。このことを確かめる簡単な実験があります。
指を握り締めている状態(ジャンケンの「グー」)で、手首を手の甲側に倒すのと手のひら側に倒すのとでは、どちらがラクでしょうか?指を開いた状態(ジャンケンの「パー」)ではどうでしょうか?また、5本の指を、鳥のクチバシのようにつきだして指先を合わせた状態では、手首をどちら側に向けるのがラクでしょうか?
指板の上で、指をラクに動かすためには、手首と指が互いに楽でいられるような関係性を積極的につくり続けていく必要があります。
位置・姿勢を思うことの害悪
ここで大事なのが、最初に先生から指摘を受けたこと「位置や姿勢を思うと体が硬直する」ということです。なぜ位置・姿勢を思うと硬直してしまうのでしょうか。
指板の周辺で指の動きの可能性を探って、体がどう動けるのか試していて僕は気が付きました。「せっかく音程がとれたのだから、この位置から動いてはいけない」「この姿勢でなければ、この音程にならない」と思う必要はないのだと、わかったんです。
動いた結果としての姿勢はあるけれど、姿勢を作りたくて動くのではないんです。指先の位置というのは、指先を動かすときの目標物ではあるんだけど、体全体を拘束するためのものではないんだということに気がついたんです。
実際に演奏する場面を思ってみると、ひとつの音に居続けることはありません。仮に同じ音程の音を出しつづけるとしても、次の瞬間には、別の音へと動いていく可能性は持っていていいんです。
「動く」ために、何をする?
指先を動かすためには……「自分全体の一部である指先」を動かしているという思いに立ってみるのをオススメします。指が目的地へ向かうためだったら、全身全霊で――頭から足の先まで、そして左腕だけでなく右腕までもが――サポートする。
全身が、指先のために協調する。この一言につきます。