「みんな背中を見てる」~がんばれコンマスくん

 先週末のオーケストラの練習で、僕はコンマスをつとめておりました。さっき録画を見て「進歩の無さ」のようなものを感じてしまいました。なんでしょうか、この行き詰まり感は。突破口はきっとあるはず。

 僕が、そのコンマスくんのどこにご不満かといいますと、まずオーケストラとコンマスくんが一体になれてない感じ。コンマスくんのとなりの奏者や、他のパートの首席さんともかみあわないままで、誰がどの音を弾いたり吹いたりしてくれてるのかさっぱり見えてないように見える。指揮者の意図もすくいとれてないみたい。管楽器が何やってんのかを聞いてはいるけど同じ場にいるだけで別個の演奏になってる。

 楽譜に自分で付けた弓順を追いかけることだけやっていたんじゃないだろうか。自分の演奏のしかただけ考えてたんじゃないだろうか。コンマスくんに僕は問いたい「それって《音楽》なのか?」

「みんなアンタの背中を見てるんや!」

 ふと、先輩が言っていたことを思い出した。

がんばろうな!って言葉では何とでも言える。
みんなは、アンタの背中を見てる。
その背中を見て「よし、やろうじゃないか!」ってついてきてくれる。
そういうもんだ。

 うまいとか、へたとか。ひけるとか、ひけてないとか。そういうこと以前に「一緒にやろうよ。音楽ってすばらしいよ……ちょっとシンドいけどね」っていう気持ちを、どこかへ置き去りにしていた気がする。そんなこの頃だったんじゃないかな。

……

 コンサートマスターってのは、ものすごい重責だなって思います。「チューニングのAが合わなかったらアカン」「弓間違えたらアカン」「落ちたらアカン」「飛び出してもアカン」「指揮者が倒れたら、コンマスがなんとか演奏を持ちこたえさせるんじゃ」とか、いろんな不安オバケが湧き起こってきます。

 でも、ほんとに大事なのは「こんなのどう?」「これも面白いんじゃない?」「だったら、これはどうかな?」って、みんな――オケの仲間たちと、指揮者と、聞いてくださるお客様――を遊びに誘うことだよね。

 新鮮な気持ちで前に進むよ。

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