iPhone5で撮った夕焼けシルエット富士を父に見せたら、それだけでも喜んでくれた!

父の介護

さっき見た夕焼けの色がきれいだった。そして、電車から見たシルエット富士がキレイだったのでダメもとでiPhone5で撮影した。帰宅して父に見せようと思ったからだ。iPhoneに収めた写真をカメラロールで取り出して、小さくかすかに写った富士山をズームアップしてみせると、父はちょっと驚いてくれた。「すごいな、こんな事ができるんだな!

父は僕の実家に住んでいる。要介護の認定を受けて何年も経つ。いまは、ほとんど家から出ることはない。そんな父に対して僕がすることというと、顔を見せて挨拶するくらい。「おはようございます」「いただきます」「いただきました」「いってきます」「ただいま」「お風呂に入るよ」「今日の新聞どこ?」などなど。

外に出歩くのが億劫になってしまった父でも、大画面のハイビジョンテレビは気に入っているようで、体調がいい時などはテレビ欄に赤丸チェックして朝から晩までトイレに行くのも忘れる勢いで見入っている…。困ったものだ。

シャイな父に、どう愛情表現を返せばよいか…

そんな父だけど、僕が家にいると「おい、なんか食べないか?」とか「おい、なにか飲まないか?」などと一日に一度は声をかけてくれる。今までは「あとでいいから要らない、ありがとう」って言うばかりだった。今日は素直に応じてみた。「おい、おにぎりでも食べないか?」「ありがとう一緒に食べるよ。おにぎりは父ちゃんが自分で食べなよ。僕は自分で残り物でつくるのをいただきます」とか言って。

父は、母が用意しておいたおにぎりとゆで卵をもぐもぐ。僕はそれを見ながら、夕べの餃子鍋の残りを温めつつ餅を焼いて雑煮に仕立てて…、とかやってる間に父は食べ終わって寝床に戻ってしまった…。

いままで、父が働いていたときは、僕が学業ばかりでかかわりを持たずに来た。父がリタイヤして家にいるようになると、僕は家には寝に帰るだけになっていて晩酌を共にすることもなかった。父が病に伏せるようになってからやっと、父とのかかわりを持つようになってきたんだな。

家族はどんな状態でも、家に揃っていると嬉しい。父が入院していたり、母が泊りがけで用事に出たり、兄弟が一晩でも留守にしていると、なんだかポッカリとさみしい気持ちが起こってくる。

せっかく父が誘ってくれたのだから、できるだけ応えようと思った。iPhoneで写真をとったら見てもらおう。これだけのことだけど、僕が父の足となり目となることもできるんだよね。

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