村治佳織とトゥールーズ室内管弦楽団 in みなとみらい大ホール

トゥールーズ室内管弦楽団、音楽監督ジル。
ジルはソロ・ヴァイオリン担当。
いい演奏だと思った。
楽器に無理を強いていない。
弓捌き。
準備動作からフォロースルー、そして
フォロースルーから次の準備動作まで、
とてつもなく滑らかにつながっている。
絹糸のただ一本が繭を作っているように。


並び方は、下手(しもて)から順に
第1ヴァイオリン3名、
第2ヴァイオリン3名、
コントラバス1名、
チェロ2名、
ヴィオラ2名。
ちなみに、ヴィオラはトップが裏。
私の座席が、ヴィオラトップを正面から見下ろす位置でした。
(座席番号LCブロック)
弓使いが細やか。
バリオラージュでしたっけ、
移弦が度重なる状況でも、
弓の毛と弦とのテンションがコントロールされている。
まるで、指の関節一つ一つが精密にプログラミングされているかのように
オートマティックに。
入力に対して、
意識が介入することなく、
適切な解を出力する。
どんな刹那にも、
適切な接触を作り出して、
振動を生み出す動作を起こす。
ヴァイオリンは
一瞬一瞬の弓運びが、
取り返しの付かないシビアな世界。
音を長く伸ばしている間に修整が利くという幻想は
さっさと打ち砕いたほうが身のためだ。
ジルのトークはくっきり聞こえたのだが、
フランス語の子音がレベル上限ぎりぎりか、
あるいはつぶれるくらいで。
そのいっぽう、お二人の日本人女性は、
ゴニョゴニョかつ早口、ききづらかった。
言葉を選んで、ゆっくり間を置いてもらえると
聞き取りやすかったかもしれない。
トークの内容が果たしてどんなものだったのか
結局心に残っていない。
演奏も、言葉で書けと言われると書きようがないわけだが。
それをあえて書くなり、面と向かって話すなり
理解を共有しようと思いやることが
「武力」の対局にある「対話」なんだな。
(つづく)
村治佳織とトゥールーズ室内管弦楽団 in みなとみらい大ホール(2)

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