バイオリンを買うぞ。~千駄ヶ谷「イル・ヴィオリーノ・マジコ」にて

音楽の思い出・記録

しゃけです。
バイオリンを買うぞ。
買うためには、バイオリンに出会う努力が必要だ。と当たり前のことにいまさら気づいた!(^.^;
1月13日、信濃町でダブルヘッダーの室内楽出動演奏があって、その合間に楽器屋さんをたずねる事にした。訪ねたお店の名前は、「イル・ヴィオリーノ・マジコ」という。インターネットにもお店を構えているから、この名前をご存知のかたも多いかもしれない。
ひとりで訪ねる勇気が無かったので、後輩のコンバス奏者を連れて行った。楽器製作の経験もある彼がいれば何かと心強かろう、という算段もあってのことだ。ぬふふ。
お店には、難なくたどり着くことができた。JR千駄ヶ谷駅の改札を出て右、「エクセルシオール・カフェ」の店先を横目に見ながら、最初の交差点(?)を、右へ下っていく。で、道なりに歩く。まだかなぁ、と思いながら歩いていると、新宿御苑の門が見えてくる。その向かいの建物の1階が「イル・ヴィオリーノ・マジコ」だ。ちょっと気をつけてみていれば、外からもみえるつくりの工房で、それとわかる。といいつつ、僕は、うっかり通り過ぎそうになった。あはは。
お店に入ると、先客が2組。ひとりは弦を取り替えた後の感触を確かめていたようだ。コンチェルトやらソナタの、聞き覚えのあるところをいくつも弾いて念入りにチェックしていた。いやはや、お上手。人前で弾くなら、アレくらいはできてないととても聴かせられないよなぁ…などと、ひとりごちつつショウケースに飾られているバイオリンを眺める。
店長さんが声をかけてくださった。
少しお話してから「どのような楽器をお探しですか」と本題に切り込まれる(^^;
質問に答えようとするが、答えに窮して考えこんでしまった。ふははは。
結局、私が申し上げたのは
「予算は、まだ決めていない」
ということ。
そのうえで、あれこれと言ってみた。
「いまの楽器で、あれこれ調整しても、たかが知れてきた」
「必要条件として、いまの楽器より音量が大きいもの」
「誰が作ったかは、気にしない」
「新作か、オールドか、というのも気にしない」
「そんなわけで、いまはいろんな楽器に触れてみたいんです」
つうわけで、お店の人がバイオリンを持ってきてくださった。全部で3つ、見せていただいた。
1つ目。『新作って、だいたいこんな感じです』
…とバイオリンを一つ差し出してくださった。弓はお店のものを借りた。
いやー、実によく鳴ります。カンカン鳴ります。あっけらかん。明るい。
いまの楽器を調整して、こういう具合に仕上げることもできるかもしれないな。音量は、この楽器のほうがずいぶん出てる気がする。
弓を手持ちの2本で試すと、それぞれまったく違う音になった。反応が素直な楽器なのかな。スカスカな軽い弓で、気持ちよい音が出る。ベッタリと粘着質な弓だと、ガビガビになる。面白いものだ。
2つ目。
「同じ新作でも、こんなのもあります」と。
ふむふむ、たしかにまったく違う。高い音が耳障りでない。少し地味っぽい。
あれれ?低いほうの弦が、僕としては物足りない。弓がマッチしてないのかな。手持ちの弓のどちらを使っても、大きな違いにならなかった。お店で借りた弓に比べると、手持ちの弓は毛のダメージを松脂でごまかしていたから、それが良くなかったのかな。ま、いいや。ルックスは好みではないものだった。
3つ目。
新作ではなく、『オールドっぽい』っていうのだと、こういうのがあります。
……なるほど。見た目からして、ちょっとばかり古めかしい。ニスは明るい色。黄色って言えばいいの?「ああ、いいな」これが第1印象。ひけば、よく鳴ってます。響きも、いい感じ。
大学時代に先輩が使っていたものに似た感触。でも、それよりはこじんまりしてる。手なずけやすそう、という意味で。やっぱり素直な感じね。
というあたりで、リハーサル会場から呼び出し。時間切れとなりました。
コンバスな後輩にも「ちょっと、ひいてみてよ」と弾いてもらう。それぞれの楽器に、固有の音があるんだねぇ。
それぞれの試奏の合間に、自分の楽器もひいてみた。いいところもある。が、それは付き合いの長さからくる「気心が知れている」ってことなのかもしれない。
「また、お邪魔してもいいですか?」
「どうぞ、お待ちしていますよ」
気持ちよくお店をあとにした。
イル・ヴィオリーノ・マジコ:弦楽器輸出入・修理・調整・毛替・販売・鑑定


後日談というか、続きがありまして。自分の肩当をお店の楽器につけたまま、置き忘れてきました冷や汗
本番は、肩当無しで。終わった後、取りに戻りました。
「お帰りなさい」と迎えてくださったのがうれしかったです。お言葉に甘えて、また行ってみよう。

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