『私の奏法』鈴木鎭一 著(全音楽譜出版社、昭和26年12月30日)の内容が、いい!

音楽の思い出・記録

貴重な本を貸していただいた。
貴重な本を貸していただいた。 Photo by ichiro_

 この本を見たことはありますか?写真だと分かりづらいのですが、よくみると、写真が印画紙をそのまま貼りつけてあるのがわかります。そして題字や著者名には金色の箔押しが施されています。厚さにして1センチ足らず、ページ数にして100ページ余りの書籍です。この本の奥付に定価が記されています。そして、印紙には著者のサインによる消印があります。

 さて、この『私の奏法』の定価はいくらだと思いますか?

鈴木鎭一さんって誰?

 鈴木鎭一(すずきしんいち)さんをご存知でしょうか。スズキ・メソードを創り上げた人です。彼の著書『私の奏法』はWikipediaのスズキ・メソードの項にも収録されていないのですね。存在が広く知られていないもののようです。

スズキ・メソード – Wikipedia
音楽を通じて心豊かな人間を育てることを目的とする教育法の一つ。20世紀日本のヴァイオリニスト鈴木鎮一によって創始され、日本、アメリカなどで教育活動が展開されている。主な活動は音楽教育であるが、それが本 …
スズキ・メソードの創始者が鈴木鎭一さんです

『私の奏法』おいくら?

 スズキメソード創始者・鈴木鎭一さんの『私の奏法』の定価は400円です。昭和26年の400円というのは、いまだといくらくらいの価値があるのでしょうね。昭和26年当時の教員初任給が5千円程度だったようです。平成時代の初任給から、『私の奏法』の定価をざっくり計算すると1万5千円とか2万円くらいということでしょうか。

Link: いまならいくら?(明治、大正、昭和の消費者物価)

バイオリン演奏指導書のお値段アレコレ

カールフレッシュ・音階体系

 運がよければ1冊5千円程度ですから上下巻合わせると1万円くらい。

ガラミアンのバイオリン奏法と指導の原理

 7〜8千円で手に入るようです。

現代語版『私の奏法』

 鈴木鎭一さんが亡くなられた1998年に出版されたのが『奏法の哲学―音に座禅して30年』です。これは、まだ入手しやすいです。内容は、随筆とも言えますし、指導論ともいえます。

手に入らない!困った!

 『私の奏法』の内容は、カラダの使い方に関するほんのちょっとした言葉遣いを除けば、文句ありません。旧仮名遣いで読みづらいのが玉に瑕ではあります。やっかいなのが入手困難ということです。

 本当に困ったのが、この『私の奏法』は、インターネットで検索しても見つからないのです。版元の全音楽譜出版社さんのサイトにもないのです。何とかしてほしい!

 私は、スズキ・メソードによる教育を自分では受けていません。しかし、鈴木鎭一さんの著作に触れてみると、その教育への思いの深さに心打たれますし、バイオリン演奏とはなんなのかという探求の筋道をつけてくださった事への感謝が溢れてきます。

 ぜひ、復刊・再版をしていただきたいものです。

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